2012GW旅行体験記「ローマ&バルセロナ旅行記」
4/28出発 関空発 フィンランド航空利用 ローマ&バルセロナ9日間に参加された S.Aさんからの ご投稿です。ローマやバルセロナ方面の旅行を計画されている方は、ぜひ参考に下さい。
旅の醍醐味は「一期一会」だと思う。 飛行機とホテルの手配以外は自分達で、という殆ど個人旅行と言える今 回の渡欧について、現地での人々との関わりを通じて振り返ってみたい。
★写真を撮りたい人、撮られたい人...関空、ウフィツィ美術館前(フィレン ツェ)、スペイン広場(ローマ)、サグラダ・ファミリア(バルセロナ)
女二人旅。まずは出発前の関空にて、お互いでお互いの写真を撮りあ いっこして遊ぶ。そんなところへ「二人一緒の写真を撮ってあげるよ」と、気さくに声をかけて下さったおじさま。早口だったので最初は中国系の方かと思ったのだが、どうやら日本人で写真家さんらしい。見知らぬ人とでも気安くコミュニケーションできるのって楽しい。ここが空港だからかもしれないけれど。
ウフィツィ美術館近辺で、自らが彫像になりきっているパフォーマーを発見。こういうパフォーマンスは初めてで興味津々な私達。そのパフォーマーに群がって、一緒に写真を撮っているイタリアの少年達の姿が微笑ましくて、そんな彼らにカメラを向けると、私の方を向いてポ ーズを決めてくれた。なんともサービス精神旺盛だ。
夜のスペイン広場。沢山の人々で溢れかえっていたスペイン階段も静かなものだ。そこで四人組の女性に声をかけられる。スペイン階段をバックにして四 人で記念写真を撮りたいらしい。快く引き受けたのは良いものの、手ブレしたり、背景だけが明るくて人物 はシルエットになったりと苦戦。そのうち一人の女性が「カメラが悪くて上手く写らないのよ。折角だったのにごめんなさいね」と、優しい言葉をかけてくれた。どこの国にも彼女のような人は居る。
サグラダ・ファミリアの内部を堪能して、少し外に出て休憩。小さな三脚を持っていたので、二人で写真を撮りながら遊んでいると、日本人のおじさまが「写真を撮ってあげよう」と、声をかけて下さった。その様子を見ていたらしい中国系の女子四人組は、恐らく私達に害がないと判じたのか「写真を撮ってくれませんか?」と、声をかけてきた。日本人の写真好きは世界一だと思うけれど、世界遺産の前では母国の違いなど関係なく写真好きになるのだと実感。
レオナルドエクスプレス
コロッセオ
★具合の悪くなった友人を助けてくれた人達...ヴァンター空港(ヘルシン キ)
長時間のフライトで友人の体調が悪化。椅子を見つけると倒れ込むよう に横になってしまう。私は横に座り、しばらく様子を見ることにした。そんな私達を見て、薬を差し出してくれた日本の女性。気遣いがとても有難かった。乗り継ぎなので、もう一度、飛行機に乗らなければならない。搭乗時刻が迫る。ゲートは思ったよりも遠方にある。友人を促して、支えながら歩くけれど、彼女はとても辛そうだ。空港のスタッフに助けを求めて、車椅子を手配してもらうことにした。飛行機への乗りロギリギリまで車椅子に乗ったまま送ってもらったり、ローマ での助けが必要かどうかと気を回してもらったり、本当に助かった。日本語を話せる職員が多いヘルシンキ。日本に対して友好的なのだったら良いね。
パラティーノの丘
サンタンジェロ城
★俺のスタンプだと喜ぶ入国審査官・ヴァンター空港(ヘルシンキ)
パスポートの最後のページである50ページ目にスタンプが押されているのは稀だろうか。数年前、ヘルシンキを訪れた際に、私のパスポートの50ページ目には 既にスタンプが押されている。一番最後のページに押すなんて面白いと印象に残っていた。「カンコウ?」と、発音の良い日本語で問いかける入国審査官。パスポートを開いて、しばし固まる。そして、隣の審査官に私のパスポートを見せつけるようにして 笑っている。「This is my stamp!」「Really?」私のパスポートの50ページ目に押されていたスタンプは、自分が押した ものだと言うのだ。彼ならではの「50ページ目スタンプ」なのだろうか?だから自分のものだとわかったの? 事実か否かはともかく、偶然の再会に喜び合った。
スペイン広場
トレビの泉
★重いスーツケースを持って階段を上がってくれたイタリアのおじさま...フ ィウミチーノ空港(ローマ)
ローマ市内への移動は、レオナルド・ダヴィンチ・エクスプレスを利用する 予定だった。乗り場は一つ上の階だと現地で教えてもらう。 階段とエスカレーターが見えて、迷いなくエスカレーターに乗ろうとするけれど、動かない。壊れているのか?いや、稼働時間に制限があるのかも。約15kgのスーツケース二個、引き回すだけでも重いのに、担いで階段を 上るのか...。気合いを入れて階段を上ろうとしたところへ、後ろから颯爽と現れたおじさま。彼は私のスーツケースをひょいっと片手で持ち上げ、友人のスーツケー スを女二人がかりで持って上がれと指示を寄こし、悠々と先に階段を上っていったのだ! 自分自身も小さくともスーツケースを持っているというのに、なんて親切なのだろう。おかげさまで階段を突破し、無事に乗り場へ辿り着くことが出来た。 おじさまは爽やかな笑顔を見せて去って行った。イタリアって素敵な国だと、ローマ市内に到着する前にスリコミされた私達だった。
パンテオン
サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会
★4ユーロの上乗せを素知らぬ顔でやってのけた駅員さん....レオナルド・ ダヴィンチ・エクスプレス乗り場(ローマ)
切符を買う為に、目についた窓口に並んでみる。何故か、現地人と思わしき人達を追い払うようなジェスチャーを見せる男 の駅員さん。言葉が解らないので怪訝に思いつつも、私達の番になったので、切符を 二枚お願いする。値段を示されて...あれっ? 事前に仕入れた情報では片道14ユーロのはずが、何故か4ユーロ上乗 せされている。税金なのかと思い、 「tax? tax?」 と、尋ね続けていると、すぐに諦めたのか、向かいにあるタバッキ(キオス クのような店で、そこで切符も買える)を指さして苦笑い。あのジェスチャーは、現地人をタバッキへ誘導していたのか!納得! 小さなぼったくりは、全く悪気なく行われているのかもしれない。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会
★フィレンツェ在住の日本のおねえさん...IL PAPIRO(フィレンツェ)
フィレンツェの街を散歩していて、友人がたまたま目を留めたお店。そこは「IL PAPIRO」という名の紙屋さんだった。店内に居た女性が声をかけてくれる。「こんにちは。日本の方ですか?」そう。店員さんは日本人だったのだ。彼女はマーブル紙の作り方を実演して見せてくれた。初めて知ったマー ブル紙。とても綺麗で気に入ってしまった。 話が弾んで、彼女自身がフィレンツェに住み着いて四年になることや、海外での生活事情、近辺の美味しいレストランなど、色々と教えてもらってとても楽しかった。そうか、海外に移住する入口は語学留学なのか...。
IL PAPIRO
マーブル紙
★郵便局を探して出会った人達・サン・ピエトロ広場周辺(ヴァチカン)
日本へエアメイルを送る。やってみたいことの一つだった。 ローマよりヴァチカンの方が郵便事情が優れていると聞いたので、ヴァ チカン郵便局で手紙を出そうと考えていた。しかし、自分で目印をつけた地図だけでは辿り着けず、近くのお店の人 達に聞いても見つけられず...。 サン・ピエトロ広場の列柱にもたれて腰を下ろし途方に暮れていると、同じようにして座っているイタリア人のおじいちゃんと目が合った。「Ciao!」おじいちゃんに近づいて、性懲りもなく郵便局の場所を尋ねるけれど、相手は英語を解さないらしく、カタコトの日本語とイタリア語で世間話。「キレイ!カワイイ!」 少しは日本語を知っているらしい、陽気で女性好きなおじいちゃんだった。余談になるが、テルミニ駅のタバッキでも切手を売ってくれないか尋ね回ったものの撃沈。ホテルで働くおじさんが、「切手を貼ってくれれば、僕が代わりに出しておいてあげるよ!」 とまで言ってくれていたのに、残念。
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ教会
★スケッチをのぞき込む人達・・・ウフィツィ美術館前(フィレンツェ)、コロッセオ(ローマ)、サグラダ・ファミリア(バルセロナ)
ウフィツィ美術館に入る為、長い行列の最後尾に連なる。待ち時間を利用して目についた彫像をスケッチしていると、後ろに居たイタリアの少年が 遠慮なしに私の手元をのぞき込んでいた。絵を見せて、彫像の足元に書いてある文字を訛りのないイタリア語で発音して教えてもらったりした。
コロッセオをスケッチしていると、通りすがりのイタリアの青年がのぞき込 む。目を合わせると、笑顔で親指を立てて走り去っていった。
サグラダ・ファミリア内部で椅子に腰掛けてゆっくりとスケッチする。年配の女性が私の肩を小突き、了解を得た後で私のスケッチを写真に撮っていった。興味深そうにのぞき込んできた青年は、簡単なほめ言葉を寄こし てくれた。右隣に座っていた少女は、ずっと私がスケッチする様子を観察 していた。最後には恐る恐るカメラを取り出して写真を撮っていた。
スケッチするというのは、自分達で自由に時間を使えるからこその楽し みだ。そして、共通言語を持たずとも、気軽にコミュニケーションが取れる 素晴らしいツールだと実感出来た。
こちらを見つめるダヴィデ像
触ると再度フィレンツェに来られるというイノシシ像
ドゥオモ
★私達のターゲットにされたカップル・・・地下鉄からホテルまでの路上(バ ルセロナ)
午後十時を過ぎ、日の長い五月のバルセロナでも既に空は真っ暗で、人通りも閑散としている。最寄りの地下鉄の駅から滞在しているホテルまでは徒歩十分程度の距離。勝手のわからぬ日本人女性二人組が夜に出歩いているのは流石に危険だろう。そこで私達が考えた方法は、同じ方向に進んでいる人達をターゲットに決め、出来るだけ彼らの近くを歩くというものだった。たまたま通りかかった男女のカップルを追いかけることに決める。運の良いことに、私達が向かいたい方向とことごとくかち合っている。彼らが右折すれば私達も右折し、彼らが左折すれば私達も左折した。日本語でおしゃべりしながらの追跡。ターゲットにされている彼らの目に映る私達の姿は、異国の言葉を話しながらいつまでもついてくる怪しい女 二人組だっただろう。程なく彼らはホテルに入っていく。なんとそこは私達が滞在しているホテ ルなのだった!」道理で同じ方向に進んでいた訳だ。 エレベーターホールで立ち話。 「貴女達、私達を追いかけてきていたわよね?」やはり気付かれていた。変な思いをさせて申し訳ない。
夜のサグラダ・ファミリア
サグラダ・ファミリア内部
サグラダ・ファミリア内部
★各地で見かけた小銭を稼ぐ人達...観光名所周辺(主にバルセロナ)
サグラダ・ファミリア前で、空き缶を器用に折り曲げた灰皿を作っているアジア系の青年。2ユーロで販売。大きな木製のオブジェ、電子音が鳴るおもちゃ、暗闇で蛍光色に光りながら空を飛ぶ輪っか、一輪の花など、大抵は肌の色の濃い人達が歩きな がら売っている。
地下鉄車内で突然音楽が聞こえてくる。アンデス系の曲が二人の男によ って生演奏されている。終わった後には乗客にチップを要求していた。
サン・ジョゼップ市場の狭いスペースで、突然カポエイラを実演する屈強 な肉体を誇る青年達。固い地面を怖がることもなく、実に身軽な宙返りを 披露してくれる。終わると周辺の観客にチップを求め、すぐに場所を移動 して同じことを繰り返している。
グエル公園内で全身ヒョウ柄のミュージシャンを発見。足元に空っぽの ギターケースを配置して、火傷しそうなくらいの太陽の熱視線にさらされな がら、ノリノリで演奏。
グエル公園の回廊で突然モデルにされる。背の高い彼は、私の横顔を真剣なまなざしで見つめつつ、ハサミを使ってその場で黒い紙を刻んでい く。あっという間に私のシルエットが出来上がった。そう、切り絵のパフォー マーさんだったのだ。なかなか雰囲気が出ているということで、友達も切ってもらい、記念に買った。4ユーロ。
生誕のファサード
グエル公園のトカゲ
★四人の黒人達...サグラダ・ファミリア、レイアール広場(バルセロナ)
ライトアップされたサグラダ・ファミリアを見に行った。人通りが少なく静かで、壮大なサグラダ・ファミリアとゆっくり向き合えた。受難のファサード側で、黒人の青年が一人、サグラダ・ファミリアを見上 げている。頼まれて、写真を撮ってあげた。 私達が去った後も、彼は黙ってその場に佇み、サグラダ・ファミリアを見 つめ続けていた。
晩御飯のお店を探して、地図を片手に迷っていると、向かいから歩いて きた一人の黒人の青年が声をかけてきて、道を教えてくれた。 それだけでなく、名前とメールアドレスを聞かれる。フェイスブックに登録 しているかとも聞かれる。挙げ句の果てには愛を告白される。セネガル出身だと言う黒人さんは日本人好きなのかも。
ゴシック地区のレイアール広場で噴水の縁に腰かけたのが運のつき。 右隣に座っていた黒人の青年と拙い英語で会話していると、話の流れで 翌日一緒に時間を過ごすことになってしまった。彼の友人の黒人さんも含め、四人でゴシック地区を散歩。 黒人さんは、スペイン語、フランス語、英語、母国語など、沢山の言語を 話せるそうだ。優秀!彼は自宅に私達を招待したい素振りだったが、私達がお店に立ち寄ったり、カテドラルの中でゆっくりと時間を過ごしたりと気ままでいることに呆れたのか、夕方には別れを告げた。すっかり姿が見えなくなったところで気付く。私は、彼のサングラスを預 かったままで返すことを忘れていたのだ。日本に帰国してからメールでその旨を伝え、郵送すると申し出たのだけ れど、彼からは別にいいという返事が来た。一緒に撮った写真を送って欲しいと頼んでいるけれど、果たしてどうなるだろう? 旅行から帰っても、まだ楽しみは続いている。
ミロ公園のオブジェ「鳥と女」
切り絵
ここに記したのはほんの一部の人達で、短期間で本当にたくさんの「一 期一会」に出会うことのできた旅だったと思う。肌や目や髪の色が違っても、文化や生活習慣や住んでいる場所が異な っても、人はみな同じ心を持っていると実感した。だからこそ、また旅に出て、様々な人達とコミュニケーションしたくなった。
今回の旅へと快く送り出してくれた職場の人達、共に旅をした友人、それ から、旅の手配をして頂いたSPCの方々のおかげで素晴らしい経験をす ることができ、とても感謝しています。有難うございました!
※この旅行記は2012年4月に書かれたものです。最新の情報はご自身でご確認ください。
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