創立25周年記念旅行体験記「スペイン旅行記」

3/25出発 KLMオランダ航空利用 マラガ/バルセロナ行き航空券をご利用頂いたK.Sさんからのご投稿です。スペイン旅行を計画されている方はぜひご覧下さい。

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2019年3月、姪と二人でスペインを旅行しました。

私は毎年3月に旅をします。同世代の友達と旅行するのも楽しいのですが、久しぶりに一人旅というか、若かった頃に暮らしたバルセロナにゆっくり滞在して、友達を訪ねたり、懐かしい街並みをぶらぶら歩いたりして過ごそうかな…ぼんやりと考え始めたお正月に、姪が「スペイン行くなら一緒に行こう」と持ち掛けてきたのでした。
彼女は私がバルセロナに留学していたときに生まれました。学期終了の休みにバックパッカー姿でアンダルシアを旅行していた途中、コルドバの街で、その誕生を国際電話で知った姪はもう社会人です。自分でもどんどん海外に行くし、旅行なら友達や彼氏と出かけた方が楽しいはずなのに、一緒に行こうと叔母さんを誘ってくれたのです、しかもスペインに。いや、スペインだから一緒に、と思ったのかも知れませんが、とにかくその姪とスペイン旅行なんて、感無量ではありませんか。
そうとなれば、バルセロナ一都市滞在という初期設定は消去され、折角の機会なんだから「BESTスペイン」をとことん見せてあげようという欲がどんどん膨らみました。そしてこの「折角」という言葉は実に駄目ですね。自由業の私は折角スペインに行くなら10日でも半月でも居たいと考えてしまうのです。こうして姪が会社員であることへの遠慮もそこそこに「情熱のアンダルシアと芸術の街バルセロナを巡る9日間」みたいなてんこ盛りの旅程を練り上げてしまいました。
私は関空、姪は成田発着でオープンジョーを手配してもらって、乗換地アムステルダムで合流。当日の夜にマラガに到着し、翌日は日帰りで白い街ミハスを訪ね、一旦マラガに戻って特急AVEでコルドバへ行き一泊滞在、見渡す限りのオリーブ農園の間をバスで疾走しグラナダへ移って二泊、そしてLCCでバルセロナへ飛んで三泊を過ごし、帰りはスキポールで別れてそれぞれ家路につきました。
このような移動の多い旅はしないという姪にとってはまさにパッケージツアー並みの強行軍だったことでしょう。定番を一通り網羅したつもりでしたが、彼女にとって「折角の初スペイン」は、見た範囲でどう見えたのでしょうか…
私にとって第二の故郷と言っても過言ではないスペインですが、今回は初めて姪と一緒に旅行できたおかげで自分の中のスペイン観を新たにすることができました。


ミハスの窓

コルドバのメスキータ(大モスク)

コルドバのメスキータ 中庭と塔

【記憶vs 情報、アナログvsデジタル】
もし一人旅だったら、何より私は自分の記憶や思い出を求めて、それを確かめるための旅をしていたことでしょう。特にアンダルシアなどは、若き日の貧乏旅行を懐かしみながら同じ道を通り、あのとき行った場所や店があれば感動し満足してそれで終わっていたかも知れません。
でも姪にはスペインへの郷愁がない代わりに情報がたくさんありました。私は未だに自分の経験や勘や紙媒体のガイドブックに頼って旅行することが多いのですが、彼女はスマホでどんどん情報を更新しながら行動します。もちろん私もスマホで情報収集しますが、その活用術においてはコールド負けです。
まず、私は道に迷えばその辺の人に尋ねます。言葉が通じるからですが、スペインではそのせいで却って遠回りになることがあっても救われることの方が多かったし、それも旅の楽しみだと思っています。でも姪は「スマホがあるのに道端で赤の他人に近づくなんて無理だ」と言うのです。どの街でも、具体的な目的地がなくても「Coffee」や「Beer」というキーワードから示される場所にその場から最短最速で、液晶画面を見ながら「あと何十メートル」「あと何分」に着くことができて信用度と安全度は抜群だからということです。


アルハンブラ宮殿 アラヤネスの中庭

アルハンブラ宮殿 ライオンの中庭

【バルよりカフェ、ワインよりビール】
コーヒーといえば、私ならバルでエスプレッソを立ち飲みしてサッと立ち去ります。ところがコーヒーにこだわりを持つ彼女は、スマホを片手に、時間をかけて抽出した美味しいコーヒーを出す店に連れて行ってくれました。グラナダでは「La Finca」というカフェでスペインで初めてペーパーフィルターコーヒーを味わったし、学生時代には何となく敷居が高かった老舗「Lisboa」にも、スペシャルティコーヒーを扱っているというので、移動日の出発前に立ち寄りました。昔ながらの「カフェ・コン・レチェ」ではなく、南半球から伝来した「フラット・ホワイト」で朝を迎えるスペイン人がいるということでしょうか。バルセロナに至っては東京の友達からのミッションだという「NOMAD COFFEE LAB」に行きました。私はアイスコーヒーがスペインの伝統(エスプレッソに自分で砂糖を溶かして氷の入った別のグラスに一気に注ぎ換えるという作法)に反してカクテル用のシェイカーで作られるのを見て呆気にとられてしまい、動画も写真も撮らなかったことを後悔しています。日を改めて朝ご飯を食べに行った系列店「NOMAD EVERY DAY」ではそれこそ折角なので自分用のお土産に豆も買いました。
ビールの話をすれば、いつの間にかかなりのビール愛飲家になっていた姪に付き合って、ワインをはるかに凌ぐ頻度と質量でビールを嗜みました。あまり知られていないかも知れませんが(少なくとも私は驚きました)、スペインの各地でとても個性的で美味しいクラフトビールが何種類、いや何十種類も作られているのですね。グラナダの「Alhambra」やバルセロナの「Voll-Damm」という銘柄は前から知っていましたが、コルドバのビアバル「Califa」は大発見だったし(いや、姪が発見してくれて、2日にわたってリピート)、バルセロナではバルセロネタ地区の老舗ビアホール「El Vaso de Oro」の他、倉庫を改造したような「BlackLab」では醸造所併設のフロアでオリジナルビールを飲み比べ、ゴシック地区のエスニックカフェ「Salterio」で飲んだ地ビールを気に入った姪はお土産にボトルを買い求めて日本まで持ち帰っていました。
こうした飲み歩き体験を振り返れば、姪に連れて行ってもらったコーヒーのお店では、グラナダの老舗Lisboaを除いて、利用客は圧倒的に外国人旅行者が多かったですね。確かに美味しいコーヒーを味わうことができましたが、オーガニックでフェアなコーヒーの正規価格に加え出店コストがかかっているためか、地元民が常連客になれる価格帯ではないなと思いました。
反対に、スペインで美味しいお酒があるところには必ず地元の人が集います。元々から終日開いている身近なバルに生活サイクルに合わせて立ち寄るスペイン人です。付加価値も値段も高いコーヒーは敬遠しても一杯ひっかける習慣は譲りません。外国人旅行者が増えても、愛される店は素晴らしいコスパを維持しており実に賑わっています。好き嫌いもあるでしょうがワインより手軽で、ある意味ワインに勝るとも劣らぬ奥の深さと幅の広さを持つビールを楽しむのもスペイン旅行の大きな楽しみですね。


コルドバの地ビール「Califa」

バルセロナ ビール醸造所「BlackLab」

【スペイン定番の魅力】
ここまで「飲む」ことばかり書いてきましたが、今更ながら定番を再発見することもできました。
コルドバの街並みは初めて訪れたときの感動をそのまま蘇えらせてくれたし、グラナダのアルハンブラ宮殿への参観は、過去3回は極寒、酷暑、雨に見舞われましたが、4回目で初めての快晴に恵まれて美しさ一入...いや、この辺りは姪のおかげではないですね。
姪がいたから旅程に入れたのですが、グラナダでの二夜目、私は初めてタブラオなる場所で本場のフラメンコショーを観ました。ホテルからの送迎とディナー付きで、スペイン人客も含めて観光客ばかりだったのですが、最前列で見せてもらったのでダンサーの汗まで飛び散ってきたし、タップ、手拍子、ギター、歌もが体まで響いてきて、凄い迫力でした。こうした定番すぎる観光をバカにしてはいけませんね。勧めてくれたホテルのフロントのレティシアと、送迎のナチョに感謝です。二人とも地元の人で、ナチョはLisboaのコーヒーも推してくれました。
そして、かつて3年近く住んで何度も再訪してきたバルセロナで、実はサグラダ・ファミリア教会の中に入ったのも初めてでした。岩山をイメージした外観とは正反対の、ステンドグラスの光の洪水に全身が包まれるような多幸感に満たされました。
現地の友達、知人には旅行のことを知らせていなかったのですが、バルセロナに着いてから連絡をとって時間を作ってくれた親友が最終日に私たちをドライブに連れ出してくれました。観光客でごった返すバルセロナを脱出し、郊外であまりアクセスのよくないガウディの未完の「コロニア・グエル教会」を訪ね、カステルデフェルスという町の海岸沿いのシーフードレストランで最高に贅沢なランチのひと時を過ごしました。
こんな叔母さんのせいで姪が「見てみたかったスペイン」を見ることができたかどうか怪しいのですが、私は一人旅では知らずに終わっていたかも知れないことをいくつも発見し、道連れのいる旅の楽しさを存分に味わうことができました。誘ってくれた彼女に感謝です。ちなみに最後にスキポール空港ではオランダビールで旅の終わりの盃を交わしました。


サグラダ・ファミリア教会 生誕のファザード

サグラダ・ファミリア教会 内部

コロニア・グエル教会 ステンドグラス

カステルデフェルスのシーフードレストラン「Marae」の海老の鉄板焼き

2020年の3月は旅行を断念しました。 世界中が、日本が、そしてスペインの国と人々がこの危機を乗り越えることができると信じて、また安心して旅行に出られる時がきたら、まだ行っていない国もたくさんあるのですが、是非またスペインに飛んでいきたいです

※この旅行記は2020年5月に書かれたものです。最新の情報はご自身でご確認ください。

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